生体系において水、硫黄、セレンを利用して触媒反応を司っているモリブデンやタングステン酵素の反応中心の精密モデル化と機能解明をめざして錯体化学的研究に研究を展開しています。現在までに、酸素原子引き抜き反応を応用した金属-オキソ錯体の合成や、中心金属の電子移動能を利用して水分子由来のオキソ基を導入した金属錯体の合成を行い、その生成機構や各オキソ種の酸化還元挙動や基質の酸化活性などを系統的に調べています。本研究では特に酵素の活性種を精密にモデル化するため、配位子として各種ジチオレン誘導体を用いて検討しています。また、類似の戦略を用いて、スルフィド錯体やセレニド錯体を系統的に合成し、反応性を明らかにするとともに、電子状態の解明を行い反応性との相関関係の解明をめざしています。